技術情報

Technical information

郷土を護るための技術

1.社会資本ストックの点検

我が国では、橋梁やトンネル等の道路構造物を数多く管理しています。その数は、2m以上の橋梁で約70万橋、トンネルが約1万本です。この膨大な道路構造物の老朽化に対して、どのように対処していくかが今大きな課題となっています。

こうしたなか、2012年12月2日に中央自動車道上り線の笹子トンネルで、天井板が落下し走行中の車両が巻き込まれる大事故が発生しました。この事故を踏まえて、全国で社会資本の利用者や第三者の被害の回避を目的とした緊急点検が実施されてきました。この点検では、これまでの日常点検や定期点検で把握されていなかった損傷等が数多く確認されています。また、地方公共団体管理の施設の中には、これまでに点検がなされておらず、劣化や損傷の状況を把握できていなかった施設があることも報告されています。

道路構造物の老朽化問題では、橋梁やトンネル等の重要構造物に注目が集まっていますが、今回様々な社会資本ストックの点検を実施した結果、これまであまり注目されていない箇所での劣化や損傷で、道路機能に深刻なダメージを与える可能性があることがわかってきました。これらの損傷は、設計時や施工時の工夫である程度回避できるものと思われます。ロイヤルコンサルタントでは社会資本ストックの点検に力を入れています。

2. 三次元画像測量システム

三次元画像測量システムとは、全方位カメラで取得した画像(映像)からGNSS(全地球測位システム)やIMU(慣性計測装置)のデータと複合的に後処理解析を行い、カメラ位置の三次元座標・姿勢を取得するシステムです。車両で走行するだけで、周辺の様々なデータを取得することが出来ます。
このシステムを使うことで、様々な業務の効率化や空間情報の有効活用が行えます。

(1)三次元画像測量システム

このシステムでは、360°の全方位の画像を取得することが出来ます。写真-7は、このシステムで撮影したものです。道路上の付属物(標識や照明)、法面や路面、跨線橋等の状況を色々な角度から見ることが出来るので、損傷や変状の状況を容易に把握することが出来ます。また、撮影した画像には位置情報が記録されているため、対象物の位置が容易に特定できます。

撮影は、時速40km/h程度の速度で行えるので、一般の通行車両への影響も小さく、1日当り300km程度の撮影が行えます。前述の定期巡回においてこのシステムを用いれば、付属物等の目視点検は大幅に省力化できます。


写真-6 三次元画像測量システム
  • 案内標識
  • 案内標識
  • 法面のアンカー
  • 舗装の状況
  • オーバーブリッジ
  • オーバーブリッジ
写真-7 三次元画像測量システムでの撮影例

(2)南海トラフ地震対策

私の住んでいる高知県では、現在南海トラフ地震対策が最重要課題となっています。
弊社では、高知大学の原忠教授ご指導の下、この三次元画像測量システムで南海トラフ地震に関する様々な問題に取り組んでいます。その一つが高知大学と共同で実施しているハザードマップ作りです。

高知大学は、常時微動観測で得られたデータを基に、より詳細な液状化や揺れやすさやのハザードマップを作成しています。このハザードマップに、家屋等の情報を盛り込み、倒壊シミュレーション等を行うのに、このシステムで得られたデータを活用することとしています。写真-8は、リヤカーでの撮影状況です。海辺の町などは、狭い路地が多く車での撮影が困難です。そのため、特注したリヤカーに撮影機材を乗せて自転車で牽引しながらの撮影を行っています。


写真-8 リヤカーによる撮影状況
おわりに

弊社では、社会資本ストックの維持管理や南海トラフ地震対策など、郷土を護る取り組みを積極的に行っていきたいと思っています。これこそが、我々土木技術者に課せられた使命だと思います。

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